湯河原 富士屋旅館
これは2019年7月に行った湯河原旅行の忘備録です。湯河原は良いぞ〜。
はじめての湯河原
平日休みが取れたので近場でどこか行きたいな、と思っていた時にこの記事を目にしました。
湯河原。隣の熱海や箱根に比べると静かな温泉地。海が近く山も近い。山の温泉の風情がありつつ海鮮も新鮮で美味しいらしい。湯河原。そもそも名前が良い。この記事に載っている富士屋旅館は今なら平日限定のひとり旅プランもある。よし、行きます(記事読了後5分で予約)
新宿からおよそ1時間45分で湯河原駅に到着です。
ザ・隈研吾な駅のファサードを抜けると目の前に土産物屋があり、懐かしい感じの喫茶店があり、すでに旅情を感じる。
なだらかな坂道を3分ほど下ってティースタンド「サ行」へ。
トロピカル烏龍。初夏の心身に染み渡るおいしさ。
隣のイタリアンレストラン「サルート」の料理もサ行の店内で頂けます。しらすピザ+トロピカル烏龍=もっちり、濃厚、サッパリ、フルーティ…最高の打線を組んでしまった。幸せ〜。テラス席は道路に面していますが平日の昼は通行も少なく、のどかな雰囲気。東京から少し離れただけでこんなに空気が違うのか。
温泉場エリアまでバスで15分ほど🚌
雨降りそう…(降った)
旧・万葉公園。2021年のリニューアル工事により遊歩道など整備されましたが、この時はまだうっそうとした森でした。これはこれで趣きがあって良かった。
園内の狸福神社には開湯の由来であるお狸さまが祀られてます。平日とはいえ誰とも会わなくて、ここは本当に公園内なのか…?とハテナを浮かべながら森の奥へと進んでいく。
公園の奥に巨大な足湯施設が。
湯河原で療養していた国木田独歩にちなんだ「独歩の湯」です。底面の凹凸が足ツボを刺激してくれます。広い足湯をザブザブ歩いていると身体が軽くなっていくのがわかる。
せっかくなので足湯につかりながら青空文庫で独歩の「湯河原より」を読んでみる。予想外にパワフルな恋の話。最後の一文にグッときた。
この独歩の湯は、2021年に惣湯テラスという日帰り温泉施設に転生したので今はもうないのですが、惣湯のコンセプト「Books and Retreat」のなかに「文学と療養」というテーマは継承されているようです。
本日のお宿
「富士屋旅館」です。わ〜素敵!最高か!完璧だよ!赤い欄干は曇天にも映えるな〜とニコニコしてしまいました。
富士屋旅館の創業は明治9年ですが江戸後期には前身にあたる宿があったそうな。2002年に一度閉館しましたが、2019年にリノベ&再開業したとの事。
正面に見えるシックな黒壁が新館、左手が旧館、その奥に洛味荘があります。旧館は登録有形文化財。全18室のお宿です。
モダンで照明が美しいフロント
アンティークの椅子がこれまた素敵。お付き菓子を頂いていると雨が降りだしました。温泉宿に降る雨、あまりに美しすぎますが……これが風情…ってこと…!?「雨の温泉旅館スチル回収」という新たな趣味が爆誕した。
新館のエグゼクティブツイン庭側のお部屋。ロッキングチェアに揺られながら雨を見てるだけの時間はなかなか得難い贅沢よ…
ライティングデスク!最高ハピネス空間!
ベッドサイドに置いてあった手鏡。インテリアとしても素敵だった。
新館は「古き良き時代の日本のホテル」をイメージしたとの事で、和のテイストが残ったシックな洋室です。
館内散策してみる。
旧館は大正12年に建てられた二階建ての楼閣風建築。 美し…!旧館と洛味荘は全て和室で温泉檜風呂つきです。
大正ロマン漂う組子入りガラス。よく見るとガラスの柄が均一ではない。大正、昭和それぞれの時代に作られたガラスだそうです。ガラスは割れたら同じものは手に入らないので、新しい模様のガラスを入れる事になるのだ。時代の積層感がたまらんよ。
渡り廊下。旧館の奥にある「洛味荘」は昭和20年に建てられ、三館の中で一番豪華な作りだそうです。
渡り廊下の角にはアンティークの椅子が置かれ、小さなライブラリーになっています。
この空間がめちゃくちゃ好みで、一生池を見下ろしていた。
緑と雨音に癒されてよかったな〜。
湯河原の湯
浴室写真は公式HPより。旧館と洛味荘は各自部屋に温泉風呂があり、新館はシャワールームあり。大浴場を使ったので部屋のシャワールームは使わなかったけど、墨色でおしゃなシャワールームでした。
大浴場は天井が高くて開放感がありました。源泉掛け流し、ナトリウム塩化物・硫酸塩泉、弱アルカリ性。熱め寄りの適温。無色透明で柔らかな肌触りのお湯に自我が溶けていく〜。
アメニティのVERDE(ベルデ)のボディバターも森の香りがして夜中まで癒されが続きました。
旅館のお食事
夕飯は新館一階の「瓢六亭」でいただきます。
鯵の棒寿司、すり流し、青梅。一気に夏が来た。
鱧とじゅん菜のお椀。スダチと梅が良い仕事してます。
氷室を開けると金目鯛🐟
南京饅頭カラスミ青山椒味噌のせ、岩牡蠣に鬼おろし…日本酒にあう……
鮎、泳いではる
鱧と夏野菜。炭火で炙られた鱧が香ばしい!夏らしい献立で嬉しい。
鰻の土鍋ごはん。おいぢいいいいい泣。鰻は関西風。おかわりしたかったけど胃の容量が足りず断念。
くずきりと焼き大福。補佐役の塩昆布も最高。くずきりの見た目も涼やか。どの料理からも夏を感じて多幸感に包まれた。上げ膳据え膳、ノーメイクで気を抜いて食べれる温泉旅館のお食事にすっかり癒されました。最近ただ生きてるだけで毎日忙しくて、常に前に一直線に進む事を求められている気がして、季節の円環を感じる事がなかった……自分の中でなにかが息を吹き返した気がした。食、だいじ。
朝食も同じテーブルでいただきます。朝もボリューム満点!どんどん食べる!
魚のアラ入りにゅうめん美味しかった!朝食への関心が薄い私ですが、この朝食はもう一回食べたいです。
美術館へ行こう
近くに町営の美術館があるとお聞きして、チェックアウト後に向かいました。
湯河原町立美術館。旅館(天野屋別館)を改装した美術館。平松礼二館、企画展を行う常設館、ミュージアムカフェ、日本庭園があります。常設展では竹内栖鳳や安井會海太郎など湯河原に縁のある作品が展示されています。何も存じ上げずに訪れたのですが見応えありすぎてビックリした。栖鳳の喜雀、鳴き声が聞こえてくる勢い。
館内のソファーから眺める青紅葉。もとが旅館の日本庭園なので情緒たっぷり。池ではモネ財団から平松礼二氏に友情の証として株分された水連が育てられています。
平松礼二館では先生のアトリエも公開されています。川端龍子から譲り受けた筆…!平松礼二をこんなじっくり沢山見たのはじめて。装飾性がめちゃくちゃカッコよくて興奮した。
美術館のカフェは地元のお豆腐屋「十二庵」さんがプロデュース。豆乳スープやおからサンドなど豆製品が充実。足湯に浸かりながら豆乳ドーナツと黒豆を頂く…目の前は青紅葉…湯河原のポテンシャル高すぎんか?
美術館を後にし近隣を散歩をしていると、2.26事件の現場「光風荘」が。事件の資料館になっており遺留品や手紙などが展示されています。ここも見応えがありすぎた。ボランティアガイドの方からマンツーマンで二時間近くお話しをお聞きしたのですが、この方がすごく博識でお話し上手で楽しかった。無料なのに?湯河原のポテンシャル高すぎんか?(2度目)光風荘は伊藤屋旅館の離れなので、将校たちは連日伊藤屋本館に泊まって様子を伺っていたらしい。確かに勾配の向こうに伊藤屋が見える。地形で感じる生々しさ。
荷物を受け取りに富士屋旅館に戻るとテラスでお祭り準備が進んでいました。
隔月の第一土日はイベントやマルシェを行っているらしい。この日は七夕ナイト🎋✨
日本酒と鰻串!
ビールと焼きもろこし!!優勝!!!
旅まとめ
湯河原を好きになるしかない旅でした。富士屋旅館はお料理が最高で、静かで、とにかくリラックスできた。この後も数回泊まっている大好きなお宿です。
湯河原では官民一体となって旅館や公園のリノベーション再生事業を行なっている。賛否両論らしいが、目の前にあるものを残したい、そう考えて手入れしてきた人がいたからこそ昔の美しいものが今ここにある。それをまた未来に生かしていく。土地や文化への愛着が感じられて面白い。
これを書いている今も湯河原にいる。私が人生で一番入浴する温泉になるんだと思う。
伊豆北川 吉祥CAREN
2019年5月、伊豆の北川(ほっかわ)温泉に行ってきました。
元同居人のKちゃんとお茶をしていた時、そういえば二人で温泉に行ったことってないね?と話題になりそのまま予約。話が早い。ルームシェアを決めた時もこんな感じだったな。二週間後には伊豆におりました。
はじめての特急列車
特急踊り子号で伊豆熱川駅に向かいます。新宿駅を出て二時間後には別天地にいてビックリした。
限界社会人にこの青さは効く
ロケーション抜群、とても気持ちの良い足湯でした。
海鮮料理「錦」さんでお昼ごはん。写真の右下にこんもり盛られているのは鯵のタタキ。新鮮で美味しい。一品メニューを追加するか悩んでいたら河南ちゃんに「このあと宿でウェルカムパンケーキが待ってる」と釘をさされ思いとどまる。伊豆に対して私の胃袋が足りなくて辛い。
干物屋さんに寄ったり駅前を散策しながら送迎の車を待ちます。
櫓から立ち上る湯気にテンションが上がる。
本日のお宿「吉祥CAREN」です。パッと気持ちが華やぐようなロビーだよ〜。
チェックインを済ませたらお庭を通り抜けて鉄板焼きレストラン「青竹」に向かいます。この年はじめて紫陽花が咲いてるとこ見た(5月半ば)
これがウェスカムパンケーキ!!14:00から15:30限定で目の前で焼いていただけます。幸福指数爆上がりでございました。
吉祥CARENは全室オーシャンビューの素晴らしいお宿ですが、浮かれすぎて部屋の写真はほぼ撮っていません笑。パンケーキでタガが外れてしまった。写真は翌朝の曇り空模様。私たちは低層階だったので目の前には屋根がありますが上階にいくほど海しか見えないような絶景になるんでしょうね。低層階でも海の広さは充分に感じたよ。夜は見事なムーンロードが見らました!
昼から温泉 is
最ッッッ高です…(風呂の写真は全て公式HPより)
自家源泉掛け流し、ナトリウム・カルシウム塩化物質。塩の恵みで湯上がりもポカポカ感が続きます。
高台から相模湾を望む構造になっており、内湯から露天風呂までは岩階段を登っていきます。途ちゅう全裸で蜂に出くわした時の心細さ、半端なかった。
姉妹館「つるや吉祥亭」のお風呂も入れるよ。シャトルバスで送ってもらいました。
貸切の岩風呂(写真は公式HPより)
吉祥CARENは高台に建っているので見晴らしが良く、つるや吉祥亭は海岸に沿って建てられているので海が目の前。波の音を聴きながら入浴。素直に「生きててよかったーーーー」って気持ちになりますね…。
吉祥CARENに戻り、夕食までの時間はラウンジやお部屋でだらだら過ごします。ラウンジにはフリードリクやスイーツが用意されており、湯上がりにはビールにところてん、夕食後にはテラスでカクテルも注文できる。至れり尽くせり。
キングダムずっと面白いからすごい。推しは蒙恬と桓騎です。
伊豆のポテンシャル
夕食はフレンチ懐石「フォーシーズン」で頂きました。
バブリーな雰囲気の店内
金目鯛の香草クリーム。金目鯛って煮付けで頂くことが多いので新鮮で嬉しかった。奥に写っているのは天城産ワサビと摺り下ろし板。おろしてたてのワサビをバターに練り込んでパンに塗って食べるのにドハマりしました。
食後はお庭でカクテルサービス。
翌日の朝食は鉄板焼きレストラン「青竹」で頂きます。
早業
地元産たまごのオムレツ。写っていませんがサラダもたっぷりでした。窓から見える緑が清々しい。
フレンチトースト美味しいね〜!
猫と薔薇
駅近くの猫さま親子
伊豆急行リゾート21「キンメ列車」特急列車のような車両だけど特急券なし予約不要で乗れます。
海側の席は窓に向かう配置になっており景色を楽しめます。
河津駅からバスで河津バガテル公園に。春薔薇の最盛期でした。
薔薇は王妃やプリンセスの名前をつけたものが多いですよね。私の推しの名前を冠する薔薇はどれかな、と架空の薔薇を探したりした。
黒船電車、面構えがよい。
旅まとめ
吉祥CARENは友達との癒やされ旅行にピッタリでした。甘やかされたいタイミングで行く自堕落温泉旅行、最高〜!北川温泉の無色透明な塩化物泉は湯冷めしにくく身体がほぐされました。
この時はびゅうトラベルの新宿-伊豆熱川間往復交通費込みのプランを予約したよ。今はびゅう旅にそのプランは無いようですが、また行きたいなーと機会を伺っております。
むげんの京都 後編
京都旅行2019の忘備録、後半です。
三日目の朝食
京都三日目の朝。白壁が眩しい。
一階の食堂で朝食を。かまどで炊いたツヤツヤ白米&西京焼きうま。
京都にはモーニングがおいしい喫茶店がたくさんあるので当初は素泊まりの予定だったのですが、二泊目以降は朝食を追加しました。というのも初日にいただいた菓子がすごく美味しかったので「ここで朝食も食べてみたい!」と思ったのです。案の定ひとつひとつががとても美味しい〜!!
映画と刀剣と大覚寺
今日は洛西へ。
おにゃん様
猫と庭園に定評のある梅宮大社。社殿の横に有料の庭園があります。庭園の前にまずはお猫さまを愛でる。なでなでしてたら通りすがりのご夫婦が庭園の入場券を譲って下さった。慌ててお支払いしますと伝えたものの、余ったものだからもらって〜と。なんと。ご夫妻に良い事がありますように!!(柏手)
庭園は予想の6倍ぐらい広かった。神社の方いわく今年のカキツバタは特に良い!らしい(2019年)
嵐山に移動しバスで大覚寺へ。これまた予想の100倍広くて大きなお寺でした。
見覚えのある廊下
大覚寺は時代劇などのロケ地常連の寺。大奥、あさが来た、みをつくし料理帖、多十郎殉愛記、スローな武士にしてくれ、などなど…どこかで見たことのある光景の連続で楽しかった。
大沢池と心経宝塔。ここは嵯峨天皇の離宮跡地。玄関に嵯峨菊が生けてありましたが、日本三大名菊の一つである嵯峨菊はもともと大沢池に自生していた菊を大覚寺が品種改良を行ったもの。かっては門外不出だったそうです。知らんかった。嵯峨菊可憐だよねえ。
働き者の膝丸。この後は知人二人と合流してピザを食べたよ。
最終日の朝
中庭の苔に水が撒かれるさまをぼんやり見やる
どこを撮っても絵になる宿
今日も美味しい!
朝食後は自転車を借りて北野天満宮に青紅葉を見に行きました。
雅なり
菅原道真公の言葉に打ちのめされたり
紅葉量に圧倒されたり
おにゃん様の足跡かわいすぎたり
兄者に会ったりしました。展示されてると知らなかったので嬉しかった。はからずも源氏の兄弟刀の実家をハシゴした。大覚寺は膝丸本尊は展示していないけど概念グッズが豊富だった。一方髭切はグッズ類はほぼ無いけど本尊がどーーーんと公開されていて解説ボイスは花江夏樹。二社のスタンスの違いが二刀のキャラクターと解釈一致で面白かった。
新幹線に乗る前にマンガミュージアムに寄ったよ。東京で見逃した竹宮恵子展が見たかったのです。
ジルベールに粉かけられるベンチ。最高。ジルベール・コクトー…わが人生に咲き誇りし最大の花よ、遠き青春の夢の中あかあかと燃えさかる紅蓮の炎よ、きみは我がこずえを鳴らす風であった、風と木ぎの詩がきこえるか、青春のざわめきがーーー(オタクの早口)思わず名作中の名文を諳んじてしまう。
ファラオの墓について、竹宮先生が「風と木の詩の連載実現のためにこれで読者アンケート一位をとろうと戦略的に始めた連載だったが、進めていくうちにキャラクターが育ち、物語をコントロールする喜びを知った。主人公だけでなくその背後のキャラクター一人一人に人生があり、その人物にしか語れないセリフを言わせる。そういった客観性が物語の厚みに必要な事であると発見できた。」とコメントされてて感嘆した。ファラオの墓で私が一番好きなシーンは主人公の部下が信仰とも言える忠誠心について語る場面ですが、彼にそう言わしめる背景が描かれてるんだよファラオには。読み返したくなっちゃった。
新幹線改札内でカルネを買って帰途につきました。
旅のまとめ
大人になって再訪する京都は楽しいとは聞いていたけど、本当に楽しかった。修学旅行のしんどさって名所をストイックに巡るあのスケジュール感にあるのかもしれん。今にして思えばあれも良い経験だったと思いますが。今回の旅は普段の休日と変わらないようなペースで過ごせたのが良かった。
あと、ムゲンさんが本当に素敵だった。朝の何気ない会話で近所に咲いてる花の様子を教えてくれたりする。一瞬だけどその地域の生活の循環のなかに加えてもらったような感覚。旅行誌のキャッチコピーで見かける「暮らすように旅する」という概念を少しだけ理解した気がした三日間でした。
むげんの京都 前編
2019年5月に行った京都旅行の備忘録です。今更だけど写真を整理していたら記録を残しておきたくなったので。
はじめての一人旅
オタクなので現場に一人で遠征する事はあったし誰かと旅行する事もあったけど、目的もなくなんとなく決めた一人旅はこれが初めてででした。衝撃的な楽しさ。知らない街をひとりで歩く事はどうしてこんなに楽しいのか。私、ひとり旅が好きなのか、と気づいた旅でした。
行き先は「そうだ、京都に行こう」と決めた。偉大なキャッチコピーだよ。
昼過ぎに京都駅に到着。お宿に向かって歩いていると「EGG SAND」と書かれた黒板が。たまごサンド。京都にいるうちに一回は食べたいと思っていた。吸い込まれるように入店。「ソングバードコーヒー」のたまごサンドは、ふわとろの卵にマヨネーズとバターの塩気が効いていてとても美味しかった。ヨーグルトの酸味が口直しになって永遠に食べられる。一食目から美味しくて幸先がよいな〜と幸せを噛み締めた。
本日のお宿、西陣「京旅籠 むげん」に到着。
呉服屋だった京町屋を改修したという全5室のお宿。休前日でも一人泊できる和室があります。オーナーご夫妻は二人とも旅好きで出会いも旅先だったとのこと。素敵だ〜。「一人旅も好きだから、宿を始める時に一人用の部屋は絶対に作ろうと思ったの」有り難すぎる。
坪庭を眺めながらお付き菓子を頂く。この上生菓子があんまりに美味しくてどちらのものか尋ねてしまった。京都の老舗「塩芳軒」さんだそうです。塩芳軒本店はここから徒歩圏内。むげんさんでは食べ物はもちろん食器やインテリアなどを京都の、特にご近所のもので揃えられているそう。寝食を通して文化を肌で感じてほしいとの事。すでに満足度100%超え。
202号室。座布団が可愛い。窓際の机の下には掘り炬燵のように足を入れられます。窓に向かって机がある部屋が大好きなんよーー。
部屋のお風呂は浴槽なし、シャワーのみ。初夏だったのでシャワーで充分でした。
一階は食堂。朝食がとても美味しかった!
土間の台所(現役)玄関帳場(現役)
蔵の中はバーカウンターでこれがまたかっこいい!
市内散策に出かけようとしたところ宿のスタッフさん一推しの店を教えていただいた上に、自転車も貸していただいた。わーい。早速行ってみます。
西陣の「うめぞの茶房」さん。寒天とわらび粉で固めたかざり餡。写真撮ってないんだけどショーケースにずらりと並ぶ姿が可愛いかった。選んだのは紅茶のかざり餡に、トッピングは白餡・シャインマスカット・薔薇の花びら。上品な美味しさでした。
加茂川を南へと自転車を漕ぐ。なんだか学生時代を思い出したりした。観光と地元感のバランスが絶妙だなあ。寺町通りまで南下してパンを買って帰りました。
京都二日目の朝
快晴。今日は洛東から洛北に向かいます。途中で晴明神社にも寄ったよ〜。羽生くんのファンがたくさんお参りされているようでした。
「進々堂 京大北門前店」で朝カレー。ある小説のなかでこのカレーを食べるシーンがあり憧れていたのです。ナラ材の長テーブルってこれか〜〜!タマネギと肉だけのシンプルなカレー。こんな味だったのか…。ちなみにこの旅で訪れた場所のほとんどは何某かの聖地です。私は漫画の中で地名を覚え、小説の中で舌鼓を打って育ってきたので、外出すると「本のなかに入ったみたいだ!」と感激する。二次元先行の人生。
ちょうど数日前に遠藤ミチロウさんが他界されていたのですが、レジに貼られていたガムテープにマジックで「遠藤ミチロウ、死す!!」と書かれていた。喫茶店は言論空間…京大前っぽい追悼だなと思った。
哲学の小径も少し歩く。
これが噂の銀閣寺…絶対に語弊があるけど今っぽくてオシャレだった。
吉田山の山頂「茂庵」さん。市中の山居と言われるほど森の気配に囲まれたカフェ。大変な人気店で以前友人と来た時は待ち時間が長くて断念したのだ。今日は待つぞ!という気合いで来ました。一時間ほど待って入店。
二階のカウンターからは京都市街が見渡せます。窓から入ってくる風が嘘みたいに気持ちよかった。窓ガラス越しに見る少し歪んだ風景も素敵だったので今度は冬に来たいな…なんて思っていたら2022年8月14日に閉店されてしまった。悲しい。次世代に引き継ぐ計画はあるそうなので復活をお待ちします。
茂庵はもともとは大正時代の実業家谷川茂次郎の茶室でし、茂次郎の雅号が「茂庵」だったとのこと。その頃、吉田山の山頂一帯は大きな茶苑だったそうです。山の東側はには茂次郎が建てた集合住宅が現存しており、当時の空気が残っているようでした。京大教官ら比較的リベラル層の宿舎だったらしい。
少し離れただけで山に突入してびっくりした。京都って都会の近くに田舎があって面白いですね!?(ドドド新規の感想)
新緑の瑠璃光院
有名な撮影スポットは二階ですが、一階のがのんびりくつろげて良かった。
寺院っぽくない造りだと思っていたら、元は実業家の別荘だったらしい。その後料理旅館を経て現在のお寺になったとのこと。そんな転生もあるのか。
一度宿まで戻り自転車で市内散策に出ます。自転車の機動性最高だ。数年ぶり乗ったけど自転車に浮かれ旅でしたよ。
KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭2019の開催中で、市内各所で写真が展示されていました。誉田屋源兵衛竹院の間で展示されるピエール・セルネが気になっていたの。時間ギリギリに駆け込む。
日本の春画とセルネのSynonymsシリーズが代わる代わる展示されています。デフォルメしつつ細部まで描く春画と、抽象化されたシルエット写真の対比が面白い。同じ行為なのに違う切り口。表現の豊かさが楽しめる形でした。会場となった誉田屋源兵衛(こんだやげんべえ)は280年続く老舗の帯匠。展示されていた昇鯉の帯は迫力だった。
京グラはこの一ヶ所しか見れなかったけど本当に楽しかったなあ。
タマゴサンド再び
お昼を食べそこねたので早めに夕飯いただきます。「空蝉亭」のトンカツ、すっっごく美味しかった!ここもムゲンさんでおすすめされたお店。ムゲンのおすすめ最強説。火入れが完璧。
締めのたまごサンド。カリっと揚げられてます。油が重くなくてペロっと食べた。
ムゲンに戻って、バーで飲む事にしました。
夜、こっちに住んでる友達が顔を見せに来てくれた。彼女は大学で一番の仲良しで、四年間ずっと毎日一緒にいた。笑顔で「私が結婚する時、お前なんて言ったか覚えとる?」と聞かれる。覚えてない…相手がバツイチ子持ちでひと騒動あったのは覚えてる…「みんな割と反対してたけどアンタは『Kは苦労をツマミに呑めるタイプだから大丈夫でしょ』って言ったんよ。今がその時!飲も!!」クソ笑った。過去の自分の人でなしさがひどい。今も笑っててひどい。お詫びにたくさんお酌しました。無神経な言葉が誰かの支えになる事もあるのか…そういえば私も昔悩んでた時に友達に言われた「御託並べてんじゃねーよ」って一言が大大大好きで、今でも悩み事があると思い出しては笑ってる。不思議な気持ちになった夜でした。
後編に続く